投稿 – ページ 4 – 女川さかな手帖

魚を買う、ということ

ウーーーーンというサイレンが入港の合図。

 

漁を終えた船が港に入ってきます。

 

その後5分もしないうちに船から水揚げが始まります。

 

魚種や大きさによる選別がない場合、1つ目にタンクに入った魚をサンプルとして、その中の魚の大きさや種類の割合、鮮度などを見極めて大体の値段のあてをつけておきます。

 

このタンクのサンプルで船の中全体の魚の様子を予測するのです。

 

 

入札会場にタンクが運ばれている間も買受人はその目を魚から離さず、中の様子を観察します。

見た目が良いだけの魚もいるので、触ったりして確認する人もいます。

 

サンプルが入札会場につくやいなや、入札開始のベルが鳴り響きます。

 

このベルがやむまでに値段と量を書いて窓口に提出しなければなりません。ここまでで水揚げから5分とたっていません。

 

そんな素早さで値段を決めて投函する。

ベルがやむと緊張の一瞬です。

「マルイシ(屋号)40円 20トン」

などと高い順から呼ばれ、魚を買うことができます。

魚を買うことができなければ仕事がありませんので、この調達の仕事は魚屋の要ともいえる重要な仕事の一つです。
parque acuatico hinchable
それをわずか5分足らずで素早く決めていく。魚の大きさ、鮮度、割合、用途、相場・・・そういったことを考慮して値を決めるのはプロにしかできない大変な仕事。

 

普段は優しい買受人たちも水揚げが始まると空気感が違います。

 

大切なのは「魚と対話すること」。

 

どうやって運ばれてきたのか、いつ獲られたのか、魚の状態を見ればすぐにわかります。

 

そうすることで最適な処理の仕方を考えながら毎日違う対応をしていくのがプロの魚屋の仕事です。

メヒカリのから揚げ

先日おかせいのお店に行くと、メヒカリが売られていました。

 

年中漁獲のある魚ではあるのですが、これからの時期に大きくなり旬を迎える魚の一つです。

全長は10㎝に満たないほど小さい魚で、最近では石巻の底引き網で漁獲されたものがここら辺では出回っています。

 

深海に棲む魚でその名の通り目が光っているからメヒカリと呼ばれます。

 

身質が柔らかく、揚げ物との相性が抜群なこのお魚を今日は地元では定番のから揚げにしてみました。

 

頭や内臓をとらずにそのまま丸ごと食べることができますが、頭と内臓を取り除くと雑味がなくなり、より身のおいしさのみを堪能できます。

この段階で塩を振っておき、下味をつけておきます。

今日は頭付きを半分、身だけを半分にしてどっちも作ってみました。

片栗粉を付けて、180度の脂で2分程度揚げると中まで火が通りつつ、外かり中ふわに仕上がります。

 

塩はお好みで。十分に味がします。parque hinchable

身が柔らかく、から揚げには最適の魚だと改めて実感しました。

頭がついている方も魚独特の風味を味わうにはもってこいで、身だけの方はおいしい身だけの味がするので子供には最適かと思います。

メヒカリを見つけたら是非お試しください!

雨水 │ 次候[ 海鞘始獲- ほやはじめてとらる ]

こんにちは!

女川の魚屋おかせいで、殻付きのほやが売られていました。
ずいぶん早いなあと思って、今シーズンのものかと聞いてみたら、そうだよとの返事。
ほやの収獲がもう始まっているんですね。
確かに、最近は、この時期でもほやが並んでいるのを見るようになった気がします。

ただ、実はこの時期のほやは、12月に産卵を終えたばかりで、まだ身を食べるには十分にその厚さが戻ってません。
よく藤の花が咲いたらほやの収穫の時期の始まり、などと言われますが、再び栄養をとって身が厚くなって本格的に収穫が開始されるのは、3月の中旬くらいからで、収穫は8月末まで続くのですが、やはり、美味しさでいうと2月の早い時期のものと7月の身が分厚いものとでは質が違います。

一般的には気温が高くなってくる初夏から夏の時期のホヤを好んで食べる人が多く、「梅雨ぼや」などと呼ばれ、旬もこの時期です。
toboggan aquatique gonflable
一方で、まだ身が薄く水っぽい今の時期のほやが好きだという人もいて、早めに収獲する漁師さんもいるということなんですね。
ほやとともに育ってきたこの地域の人にはそれぞれ好みがあるのかもしれないですね。

殻についたままのほやは一見新鮮に見えますが、独特の匂いを発する原因でもあります。
ほやの味を純粋に味わうには、収獲してすぐ殻をとってきれいに洗って冷凍したものが一番です。

鮮冷は、CAS凍結という素材の味わいを損なうことのない凍結技術で、一年中ほやを美味しく食べられる技術を確立しています。
ほやが待ち遠しい!という方は、ぜひ「三陸女川刺身ほや」もお試しくださいね(^-^)

三陸女川刺身ほや
https://www.senrei-fishmarket.com/c/frozen/sashimi_hoya

雨水 │ 初候[ 鹿尾菜繁- ひじきしげる ]

春になってくると、わかめやふのりなど、海藻が繁っておいしくなってきます。
今日ご紹介するひじきも、そのひとつです。

ひじきはワカメより浅く、ふのりなどが繁茂する磯に生える海藻です。
昔は女川のどこの浜でも獲れていたのですが、温暖化などの影響で現在は収穫の量が少なくなってきていて、心配です。
内湾より外洋の地形の磯で穫れ、女川の外洋よりだと石巻にはなりますが、寄磯浜などでよく穫れます。

収穫期になると、浜ごとに収穫の合図がでます。
だいたい毎年2月ごろから獲れ始めて4月ごろまで収穫が続きます。。
漁師はカマをもって岩に張り付くようにして生えているひじきを収穫します。
parcours obstacle gonflable
一般的に長持ちさせるために収穫後に茹で上げてから乾燥させて市場に出回ることが多い
ですが、地元ではこの獲れ始めの時期には茹で上げられたままの「生ひじき」が魚屋に並びます。
「生ひじき」とは言っても、生(なま)そのままでは食べられず、茹でたものを食べます。
この工程の中で最終的にひじきは我々のしる真っ黒な姿へ変わっていきます。

乾燥ひじきに対して「生ひじき」は麺のように切る前の状態で出荷されるので、他の海藻に
感じられる海の味というのはそれほど感じられるものではありませんが、柔らかく肉感のある素材そのものの食感を楽しめます。

「生ひじき」も女川の味として、ぜひ味わっていただきたいもののひとつです。(^-^)

女川七十二候:立春 │ 次候[ 真牡蠣栄- まがきさかう ]

10月初旬頃から収獲された牡蠣も、いままさにピークを迎えています。
牡蠣には「岩ガキ」と「マガキ」がありますが、三陸の海で主に養殖されている牡蠣はマガキです。
「岩ガキ」は日本海側で多く旬も夏。「マガキ」は三陸で多く養殖されていて、旬は冬。マガキは、ほとんどが養殖ものです。

マガキは夏場に産卵するため、味がグッと落ちてしまいます。
痩せた牡蠣が太り始め食べられるくらいの大きさになる秋、だいたい10月初旬頃から収獲が開始されます。
夏に獲った種苗をホタテの貝殻に付着させて、秋にそのタネをしずめ、そこから1年、2年後の秋に収穫が始まるのです。
parc aquatique gonflable
三陸が養殖に適する理由は、リアスの地形が生んだ山と海の近さです。山の森から運ばれてくる栄養が豊富に海に流れ込み、流れの穏やかな内湾地形でそのエサを存分に吸収できるため、おいしいカキができます。
しかもきれいな水で育つために、生食でのカキ出荷量は宮城県が一番。

この時期の牡蠣はまさにピークです。(^-^)

女川七十二候:立春 │ 初候[ 鮑螺数茹- あわびつぶしばしばゆでらる ]

今回のテーマは、つぶ貝です。

実際にそういう名前の貝がいるわけではなく、つぶ貝というのは、食用にされる一部の巻貝の総称で、いくつもの種類があります。
そのうち、女川で、特に愛されているのが「アワビつぶ」と呼ばれる種類です。
アワビつぶというのも、地方での呼び名で、正式には「もすそ(裳裾)貝」といいます。
裳裾は着物の裾のことで、身が大きくはみ出して裾を引きずっているように見えることからついた名前です。

アワビつぶと呼ばれるのは、アワビに似ている美味さがあるからです。
でも「むしろアワビより美味い。」という地元の声があるくらいです。
「アワビは生でも煮ても味がない。食感だけ。でもアワビつぶは塩っけがあり味のあるアワビという感じ」と表現する人もいます。parc gonflable
地元ではボイルして食べるのが普通です。青森でもよく獲れますが、青森では煮付やおでんで食べるのが有名かもしれませんね。

女川七十二候は「鮑螺数茹(あわびつぶしばしばゆでらる)」。
魚屋おかせいでも、茹でたアワビつぶ、販売していますよ。

漁法はかご漁です。というよりも、タコやアナゴをとろうするとかごに入ってくる副産物のようなものになります。これを目的にして漁をするわけではないのですが、副産物としては、とても贅沢ですよね(^-^)

【魚の煮付のコツ】おいしく作る4つのポイント

魚の煮付のコツといっても、煮付は日本料理の一部のようなものなので覚えておけば他の料理にも応用できます。

魚の下処理が面倒だったり、味付がよくわからなかったりと敬遠しがちですが、切身ならばスーパーなどで手軽に手に入るし、丸魚でも店によっては下処理や切身にまでしてくれます。

焼き魚と違い部屋のにおいを気にしたりグリルの掃除もいらないので後片付けもラクチン!(^^)!

コツをつかんでいろいろな魚で煮付を作ってみてください。

今回はポイントを4つに分けて説明していきたいと思います。

①魚に切れ目を入れる

皮の厚い魚などに味をしみやすくするためと、熱で皮が縮むのをふせぎます。

切身だと一文字に、丸魚には十字にいれたりします。

皮が厚いと切り込みを入れたつもりでも身まで包丁がとどいてない時もあるのでご注意を。

 

②煮汁が煮立ったところに魚を入れる

一瞬で魚の外側が固まるので旨味が逃げないし、煮崩れ防止にもなります。

ぬめりのある魚を入れるときは火傷に気を付けましょう。

ただし、新鮮なものだど皮が縮みやすいので少しぬるくても大丈夫です。

 

③落としぶたをする

魚は煮崩れしやすいため上下に反さないので落としぶたをして煮汁を全体に染みわたらせます

また、軽く押さえることで魚同士がぶつからずにすみます。

深さのないフライパンなどでは吹きこぼれ予防にもなりますよ。

 

④付け合わせで色味をプラス+

煮汁があるので少し深さのある器が良いでしょう。

付け合わせはごぼうやしいたけを魚と一緒に煮たのもや季節の青菜を彩りになるものを添えるとおいしそうに見えます

 

まとめ

いくつか挙げたコツは魚の煮付けだけではなく他の料理にも役立つものです。

レシピ本の分量や作り方などはみんながおいしい料理ですが、何度か自分で調理をしてコツをつかんで、好みの味付けを見つければ自分においしい料理になるかもしれませんね。

こだわりの魚屋の煮付も参考にしてみてください🐡

 

今回使用した煮付のレシピはこちら🐡

 

 

女川七十二候:大寒 │ 末候[ 毛蟹身重 – けがにみおもし]

タラバガニ、ズワイガニと並び日本三大蟹のひとつと言われる毛蟹ですが、ここ女川町でも水揚げされます。

毛蟹というと北海道のイメージが強いと思いますが、確かに宮城県は南端の方にあたります。でも立派な毛蟹が揚がるんですよ。

寒くなるほどに身が重くなっていく印象ですので、これからが楽しみです。

地方によって、獲れる時期が異なるのですが、女川は冬に揚がります。
ただ、例年12月頃から揚がり始める毛蟹が、今年は、今日1月30日に初めて揚がりました。

aufblasbarer hindernisparcours

暖冬の影響が色濃く出ているのでしょうか、少し心配です。

女川七十二候は「毛蟹身重(けがにみおもし)」です。

女川七十二候:大寒 │ 次候[ 助宗鱈盛 – すけそうだらさかりとなる]

女川では、年明け前のブリ(ワカシサイズ)に取って替わるようにして、
「スケソウダラ」の漁獲が、真鱈ととも増加してきました。

「スケソウダラ」は、本来「スケトウダラ」が一般的な呼称であると思いますが、
女川港では「助宗」すなわち「スケソウダラ」と呼んでいます。

女川には、定置網の魚が揚がってきますが、そのほとんどが今は「スケソウダラ」と「マダラ」。
大きい魚やたくさん獲れた魚は、水揚げされたあと「スカイタンク」と呼ばれる、青い大きなタンクに入れられてフォークリフトなどで運ばれるのですが、「スケソウダラ」と「マダラ」もそのくらい揚がっています。


↑水揚げ時はマダラとスケソウが混じっています。


↑左側の青いのが「スカイタンク」です。
aufblasbarer park
旬は真鱈と同じ冬。真鱈に比べて小さく細いですが、干物にすると真鱈に全く劣りません。
魚屋岡清では、スケソウダラも干していますよ。

また、熱を通しても固く締まらないので、煮たり、汁にいれたりするのが主で、フィッシュアンドチップスのように揚げてもおいしいです。
獲れたてのものを塩コショウでソテーしたが、崩れやすいホロホロとした身が柔らかく美味しかったですよ。

また「たらこ」や「明太子」として加工されるのは助宗の卵巣ですね。
マダラほどではないですが、白子も美味しく、捨てるところがありません。

まさに「助宗鱈盛(すけそうだらさかりとなる)」。
女川七十二候は、これにきまりです。

今日大寒の次候、本来は「水沢腹堅(さわみずこおりつめる)」です。
沢に氷が厚く張りつめる時期なのだそうです。

それにしても、ここ最近の気温の高さにはびっくりしてしまいます。
年々海水温の上昇が、漁業にも影響を及ぼしています。
寒いときはしっかり寒く、あってほしい気もしますね。(^-^)

真いかが肉厚でした

この時期女川魚市場にはヤリイカ・スルメイカ(ここら辺では真イカ)・ヒイカなどが水揚げされています。

イカのお刺身が食べたい!と思い今日は真イカを捌きました。

イカの足の吸盤が大きく包丁でこそぎ落としが大変でした(+_+)
aufblasbarer wasserpark
活きが良いほどイカの皮は剥きやすく、エンペラから引っ張りキレイに剥けたときはちょっと気持ちがいいものです。

中から内臓と軟骨を抜くときは墨の入っている袋をいかに破かずに抜くか慎重になりますね。

あとは開いてきれいに洗い、アニサキスチェックをして(ここ大事なのでまたの機会に説明します)お刺身にします。この時、うすーい皮もきれいに取ると仕上がりがきれいに見えるそうです。白いお刺身を白っぽいお皿に乗せて見た目はいまいちでも美味しくいただきました。

足とエンペラ部分は、酒・醤油・ミリンに漬けて一晩置いて焼いたらお酒のあてに。

ではまた次回!