1月, 2020 - 女川さかな手帖
宮城県牡鹿郡女川町の魚屋、岡清と鮮冷が綴る、女川の豊かな食と暮らしを彩る”さかな手帖”です。

【魚の煮付のコツ】おいしく作る4つのポイント

魚の煮付のコツといっても、煮付は日本料理の一部のようなものなので覚えておけば他の料理にも応用できます。

魚の下処理が面倒だったり、味付がよくわからなかったりと敬遠しがちですが、切身ならばスーパーなどで手軽に手に入るし、丸魚でも店によっては下処理や切身にまでしてくれます。

焼き魚と違い部屋のにおいを気にしたりグリルの掃除もいらないので後片付けもラクチン!(^^)!

コツをつかんでいろいろな魚で煮付を作ってみてください。

今回はポイントを4つに分けて説明していきたいと思います。

①魚に切れ目を入れる

皮の厚い魚などに味をしみやすくするためと、熱で皮が縮むのをふせぎます。

切身だと一文字に、丸魚には十字にいれたりします。

皮が厚いと切り込みを入れたつもりでも身まで包丁がとどいてない時もあるのでご注意を。

 

②煮汁が煮立ったところに魚を入れる

一瞬で魚の外側が固まるので旨味が逃げないし、煮崩れ防止にもなります。

ぬめりのある魚を入れるときは火傷に気を付けましょう。

ただし、新鮮なものだど皮が縮みやすいので少しぬるくても大丈夫です。

 

③落としぶたをする

魚は煮崩れしやすいため上下に反さないので落としぶたをして煮汁を全体に染みわたらせます

また、軽く押さえることで魚同士がぶつからずにすみます。

深さのないフライパンなどでは吹きこぼれ予防にもなりますよ。

 

④付け合わせで色味をプラス+

煮汁があるので少し深さのある器が良いでしょう。

付け合わせはごぼうやしいたけを魚と一緒に煮たのもや季節の青菜を彩りになるものを添えるとおいしそうに見えます

 

まとめ

いくつか挙げたコツは魚の煮付けだけではなく他の料理にも役立つものです。

レシピ本の分量や作り方などはみんながおいしい料理ですが、何度か自分で調理をしてコツをつかんで、好みの味付けを見つければ自分においしい料理になるかもしれませんね。

こだわりの魚屋の煮付も参考にしてみてください🐡

 

今回使用した煮付のレシピはこちら🐡

 

 

女川七十二候:大寒 │ 末候[ 毛蟹身重 – けがにみおもし]

タラバガニ、ズワイガニと並び日本三大蟹のひとつと言われる毛蟹ですが、ここ女川町でも水揚げされます。

毛蟹というと北海道のイメージが強いと思いますが、確かに宮城県は南端の方にあたります。でも立派な毛蟹が揚がるんですよ。

寒くなるほどに身が重くなっていく印象ですので、これからが楽しみです。

地方によって、獲れる時期が異なるのですが、女川は冬に揚がります。
ただ、例年12月頃から揚がり始める毛蟹が、今年は、今日1月30日に初めて揚がりました。

暖冬の影響が色濃く出ているのでしょうか、少し心配です。

女川七十二候は「毛蟹身重(けがにみおもし)」です。

女川七十二候:大寒 │ 次候[ 助宗鱈盛 – すけそうだらさかりとなる]

女川では、年明け前のブリ(ワカシサイズ)に取って替わるようにして、
「スケソウダラ」の漁獲が、真鱈ととも増加してきました。

「スケソウダラ」は、本来「スケトウダラ」が一般的な呼称であると思いますが、
女川港では「助宗」すなわち「スケソウダラ」と呼んでいます。

女川には、定置網の魚が揚がってきますが、そのほとんどが今は「スケソウダラ」と「マダラ」。
大きい魚やたくさん獲れた魚は、水揚げされたあと「スカイタンク」と呼ばれる、青い大きなタンクに入れられてフォークリフトなどで運ばれるのですが、「スケソウダラ」と「マダラ」もそのくらい揚がっています。


↑水揚げ時はマダラとスケソウが混じっています。


↑左側の青いのが「スカイタンク」です。

旬は真鱈と同じ冬。真鱈に比べて小さく細いですが、干物にすると真鱈に全く劣りません。
魚屋岡清では、スケソウダラも干していますよ。

また、熱を通しても固く締まらないので、煮たり、汁にいれたりするのが主で、フィッシュアンドチップスのように揚げてもおいしいです。
獲れたてのものを塩コショウでソテーしたが、崩れやすいホロホロとした身が柔らかく美味しかったですよ。

また「たらこ」や「明太子」として加工されるのは助宗の卵巣ですね。
マダラほどではないですが、白子も美味しく、捨てるところがありません。

まさに「助宗鱈盛(すけそうだらさかりとなる)」。
女川七十二候は、これにきまりです。

今日大寒の次候、本来は「水沢腹堅(さわみずこおりつめる)」です。
沢に氷が厚く張りつめる時期なのだそうです。

それにしても、ここ最近の気温の高さにはびっくりしてしまいます。
年々海水温の上昇が、漁業にも影響を及ぼしています。
寒いときはしっかり寒く、あってほしい気もしますね。(^-^)

真いかが肉厚でした

この時期女川魚市場にはヤリイカ・スルメイカ(ここら辺では真イカ)・ヒイカなどが水揚げされています。

イカのお刺身が食べたい!と思い今日は真イカを捌きました。

イカの足の吸盤が大きく包丁でこそぎ落としが大変でした(+_+)

活きが良いほどイカの皮は剥きやすく、エンペラから引っ張りキレイに剥けたときはちょっと気持ちがいいものです。

中から内臓と軟骨を抜くときは墨の入っている袋をいかに破かずに抜くか慎重になりますね。

あとは開いてきれいに洗い、アニサキスチェックをして(ここ大事なのでまたの機会に説明します)お刺身にします。この時、うすーい皮もきれいに取ると仕上がりがきれいに見えるそうです。白いお刺身を白っぽいお皿に乗せて見た目はいまいちでも美味しくいただきました。

足とエンペラ部分は、酒・醤油・ミリンに漬けて一晩置いて焼いたらお酒のあてに。

ではまた次回!

 

 

 

女川七十二候:大寒 │ 初候[ 馬面剥肝 – うまづらはぎきもあまし ]

暦の上では今日から「大寒」。
一年でもっとも寒いとされている時期です。
今年は暖冬とも言われ、宮城県は冬の厳しさは比較的あまり感じないですが、これからど
うなっていくのでしょうか。

女川では、11月後半くらいからウマヅラハギというカワハギが定置網にかかって入ってき
ています。(女川にあがってくる魚は定置網がほとんどです)

顔が長く馬の顔に似ていることから馬面のカワハギという意味の名前になった魚で、
フグの代用品とも言われたり、あまり一般には有名ではない魚だと思いますが、鮮度の良
い刺身は透明で身が締まっており、コリコリとした食感が魅力です。
フグに比べて脂が薄く感じられますが、それを補って余りあるのがそのキモです。

今の時期のウマヅラハギは、腹がぷっくりと膨れてキモが太っているのが目で確認できます。
このキモにしょう油を加えて「キモ醤油」にし、これを刺身につけて食べる。
クリーミーなキモと身の食感がマッチしてとっても美味しいですよ。


↑画像が微妙でスイマセン(苦笑)

ということで、1月20日大寒の七十二候は「馬面剥肝(まづらはぎきもあまし)」です。
食べたことのない方はぜひ、チェックしてみてくださいね。

女川七十二候:小寒 │ 末候[ 若布始穫 – わかめはじめてとらる ]

そろそろ女川はワカメの季節です。

実は、女川はワカメ養殖発祥の地なんですよ。
戦後、ワカメの養殖技術を考案した大槻洋四郎氏が女川町の小乗浜がワカメに最適であるとして始めたのが始まりです。

以来この小乗浜ではワカメの養殖が綿々と続けられてきました。

今シーズンは昨年12月20日から収穫が始まりましたが、本格的な出荷はつい一昨日のこと
です。
ワカメは、一般に収穫時期は十分に大きく長く育った2月から3月いっぱいまでで、この時
期(年末から1月中旬くらい)に収穫されるワカメは「早穫れワカメ」と呼んでいます。

漁師さんとしては、なるべく長く大きく育てたものを多く出荷したほうが利益になるのです
が、この時期の「早穫れワカメ」を出荷するのは、やはりなんと言っても、「早穫れワカメ」
の葉の部分は非常にやわらかく、茎の部分はシャキシャキと食感が良いためです。

そんなわけで今日からの女川七十二候は「若布始穫(わかめはじめてとらる)」。

おすすめの食べ方は、なんと言っても「しゃぶしゃぶ」。
お湯にサッとくぐらせるだけで、ワカメの緑色が鮮やかに浮かび上がって、見た目にも華やかですよ(^-^)

女川七十二候:小寒 │ 次候[ 鰯干寒風 – いわしさむかぜにほさる ]

真鰯は一般的に初夏頃からと言われますが、通年揚がる魚です。
この時期も、群れが定置網に入ってきて、水揚げ量も多く脂も乗っていて美味しいです。

今、女川の「おかせい」の店の前では、いわしやさばなどがこのように吊るされます。
夏は、暑く虫が寄ってきたりするので、丸干しは、寒い季節の風物詩です。

干物は、昔は単なる「保存方法」としてとらえられたりしたこともあったかもしれませんが、れっきとした素晴らしい「調理方法」です。

岡清では、生でも食べられる脂ののった新鮮な魚を使用していますが、生よりもずっと美味しい食べ方かもしれないなあと思います。(^-^)

鰯は、女川の人たちにとっては、とても日常的な魚です。
何か特別な思い入れがある、というよりは、生活の一部といった方がよいかもしれません。

寒風干しもまた同じで、ああ今年もこの季節がやってきたなあという感じです。
女川さかな手帖では、そういう女川の暮らしも引き続きお伝えしていけたらなあと思います。

女川七十二候:小寒 │ 初候[ 吉次則華 – きちじすなわちはなやぐ ]

新年明けましておめでとうございます。

年が明けて今日から仕事始めの方も多いのではないでしょうか。
暦の上では今日から節分の日までを「寒の内」といい、今日は「寒の入り」。
いよいよ本格的な寒さが来ると言われる時期です。

「小寒」の初候は、七十二候では「芹乃栄(せりすなわちさかう)」といいます。
春の七草でもあるセリが、盛んに生えるとされている時期です。
セリは、作付け面積、収穫量ともに、宮城県は第一位の野菜で、ここ数年でセリの根っこ
まで食べる「せり鍋」がブームになっているのを肌で感じます。
旬のお魚と一緒に食べても美味しい鍋ですよね。

「女川七十二候」は「吉次則華(きちじすなわちはなやぐ)」です。

キチジは別名キンキとも呼ばれます。関東の方にはこちらの方が一般的かもしれません。
宮城では古くから名物「笹かまぼこ」にも使用されている馴染み深い魚ですが、
脂のノリもよく、近年はすっかり高級魚の仲間入りをしています。

華やかな赤色が特徴で深いところに住み、赤が鮮烈なものほど美味しい魚です。
今は旬の時期にあたり、脂ものっています。

赤色が縁起が良いことから、新年のお祝いなどにも使われる魚である。
名前に「吉」を冠しているのも、一年の始まりにぴったりですね。

吉次は主にトロール(底引き網)で獲れる魚ですが、女川ではトロール船が寄港して
水揚げをしないので、主に石巻で揚がる魚になります。

ただ今年は吉次の漁場が遠く、また今年はさばが近くにて獲れているため、石巻でも
吉次は水揚げ量が例年に比べて少ないようです。
遠くまで吉次を獲りに行くよりは、近くの大量のさばを獲ることに力を入れているという
ことですが、吉次もさばも美味しいですよね。(^-^)