2019/12/12 - 女川さかな手帖
宮城県牡鹿郡女川町の魚屋、岡清と鮮冷が綴る、女川の豊かな食と暮らしを彩る”さかな手帖”です。

さんまシーズン終了

こんにちは。

 

今週もさんまの水揚げがありましたが、ほとんどの船は今週が最後の女川での水揚げになる見込みです。

ラストさんまは少しサイズが小さめのものが目立ち皆さんがニュースで見たり聞いたりする状況がそのまま漁港で起こっています。

 

個人的にもこのような不漁を体験するのは初めてのことで驚いていますが、さんま一筋で生きてきたベテランはどう感じているのでしょう?

 

長年女川でさんまを買い続けているベテランに話を聞きました。

 

 

―――今年のシーズンを終えていかがでしたか?

悲惨な年だった。稀に見る不漁だった。

でもサンマって本当においしいって改めて思った。

 

―――どんなさんまでしたか?

もの自体の品質は例年通りだった。ただ量が著しく少なかった。

今年の女川港でのさんま全体の水揚げ量が、ちょうど水揚げ全盛期の会社1社のさんま取扱い量と一緒くらいだった。

脂が落ちてから上がり始めたものもあった。

南下するほど卵が大きくなるのでそこに栄養を使ってしまい、小さくなっているものがいた。

 

 

―――価格はどうでしたか?

例年より高かった、量が少ないということも影響している。

 

 

―――時期はどうでしたか?

獲れ始めの時期が遅かった。

例年は8月後半からだが今年は10月に入ってからだった。

 

―――原因はなんだったのでしょうか?

魚がいないってことは水温なのではないか。

水温が高いので近海に寄り付かず、漁場が遠くなり、漁師は大変だったと思う。

燃料代が大変。

その点サバに関しては例年通り獲れている。

わからないことが多い。

 

 

―――来年の展望はいかがですか?

良いことがあるように祈るばかり。

今年獲れない分数が増えれば良いなあ。

来年も引き続きおいしい秋刀魚をお届けするのでみなさんサンマ食べてください!

 

 

 

ということでした。

来年は良い漁ができることを祈りましょう!

 

ではまた次回!

 

女川七十二候:大雪 │ 次候[ 槍烏賊長 – やりいか、ちょうず ]

12月も中盤になりました。

二十四節気「大雪」の次候は、七十二候では「熊蟄穴(くまあなにこもる)」です。
熊だけでなく、いろいろな動物が冬ごもりをする季節です。
淡水の魚の中には、体温も低下し冬眠状態でじっと動かなくなる魚もいますが、海の魚はでもピンピンしているものが多いですね。

「女川七十二候」は「槍烏賊長(やりいか、ちょうず)」です。

女川には、イカはアオリイカ、スルメイカ、ヒイカ、それぞれ入ってきますが、今はヤリイカが旬です。

槍のようにとがったヒレが名前になったヤリイカは、春から初夏の産卵期に向け群れで沿岸に集まり、この時期、大きく成長します。オスのほうが大きく、大きいものでは約40cmにもなります。メスは約25cmです。

ヤリイカは、透明度の高いものが新鮮かつ美味で、次第に白くなっていきます。
女川は産地ですので、透明なヤリイカが揚がりますよ。

食べ方は、当然刺身もよいのですが、長ネギと一緒に天ぷら、バター焼き、ボイルなど、火を入れても美味しいです。

産卵後に、ヤリイカはその1年の寿命を終えます。

今年のヤリイカは量が少なくサイズも小さい印象です。
大きく重いものほど高く取引されるヤリイカですが、女川の漁師さんは「意外と小さいもの方が柔らかくて美味しい」と話します。

いまが一番おいしい時期の、新鮮な女川のヤリイカも、機会があれば味わっていただきたいです。