2019/12/2 - 女川さかな手帖
宮城県牡鹿郡女川町の魚屋、岡清と鮮冷が綴る、女川の豊かな食と暮らしを彩る”さかな手帖”です。

女川七十二候:小雪 │ 末候[ 平目身締 – ひらめのみ、しまる ]

二十四節気「小雪」の末候は、本来は「橘始黄(たちばなはじめてきばむ)」です。
本格的に冬の寒さが厳しくなるこの頃、橘の実が黄色く色付き始めるという意味です。
「女川七十二候」では、「平目身締(ひらめのみ、しまる)としました。

ヒラメは、初夏にかけてが産卵期で、産卵期に味が落ちるのはどの魚も同じですが、ヒラメもこの時期身が痩せて味が落ちてきます。
夏のヒラメは「ねこまたぎ」と呼ばれ猫も食べないくらいにおいしくない、などと言われます。
最近は養殖ものが出回り、あまり旬を意識することもなくなりましたが、旬は冬です。秋頃からエサを取りはじめ冬場に脂を蓄えてきたヒラメは、この時期水温も下がるため、身がしまって実においしくなります。

目利きのポイントは、背中の赤茶色いもの、つやのあるもの、腹がバニラ色のもの。
獲れた次の日に刺身にして食べるのが良いですが、煮付もとても美味しいですし、ひれ部分のエンガワはとくに美味で寿司ネタとしても人気ですよね。

生態はどんなかといいますと、地面に潜んで隠れ、獲物が近づくと大きな口と鋭利な歯で捕食します。カレイと比べると口が大きく、歯があることが特徴です。食べるのは、主に小魚や甲殻類です。

体表を保護色に変えて海底の色にカモフラージュできる「海のカメレオン」でもありますね。