投稿 – ページ 5 – 女川さかな手帖

女川七十二候:大寒 │ 初候[ 馬面剥肝 – うまづらはぎきもあまし ]

暦の上では今日から「大寒」。
一年でもっとも寒いとされている時期です。
今年は暖冬とも言われ、宮城県は冬の厳しさは比較的あまり感じないですが、これからど
うなっていくのでしょうか。

女川では、11月後半くらいからウマヅラハギというカワハギが定置網にかかって入ってき
ています。(女川にあがってくる魚は定置網がほとんどです)

顔が長く馬の顔に似ていることから馬面のカワハギという意味の名前になった魚で、
フグの代用品とも言われたり、あまり一般には有名ではない魚だと思いますが、鮮度の良
い刺身は透明で身が締まっており、コリコリとした食感が魅力です。
フグに比べて脂が薄く感じられますが、それを補って余りあるのがそのキモです。
aufblasbare wasserrutschen
今の時期のウマヅラハギは、腹がぷっくりと膨れてキモが太っているのが目で確認できます。
このキモにしょう油を加えて「キモ醤油」にし、これを刺身につけて食べる。
クリーミーなキモと身の食感がマッチしてとっても美味しいですよ。


↑画像が微妙でスイマセン(苦笑)

ということで、1月20日大寒の七十二候は「馬面剥肝(まづらはぎきもあまし)」です。
食べたことのない方はぜひ、チェックしてみてくださいね。

女川七十二候:小寒 │ 末候[ 若布始穫 – わかめはじめてとらる ]

そろそろ女川はワカメの季節です。

実は、女川はワカメ養殖発祥の地なんですよ。
戦後、ワカメの養殖技術を考案した大槻洋四郎氏が女川町の小乗浜がワカメに最適であるとして始めたのが始まりです。

以来この小乗浜ではワカメの養殖が綿々と続けられてきました。

今シーズンは昨年12月20日から収穫が始まりましたが、本格的な出荷はつい一昨日のこと
です。
ワカメは、一般に収穫時期は十分に大きく長く育った2月から3月いっぱいまでで、この時
期(年末から1月中旬くらい)に収穫されるワカメは「早穫れワカメ」と呼んでいます。
inflatable theme park
漁師さんとしては、なるべく長く大きく育てたものを多く出荷したほうが利益になるのです
が、この時期の「早穫れワカメ」を出荷するのは、やはりなんと言っても、「早穫れワカメ」
の葉の部分は非常にやわらかく、茎の部分はシャキシャキと食感が良いためです。

そんなわけで今日からの女川七十二候は「若布始穫(わかめはじめてとらる)」。

おすすめの食べ方は、なんと言っても「しゃぶしゃぶ」。
お湯にサッとくぐらせるだけで、ワカメの緑色が鮮やかに浮かび上がって、見た目にも華やかですよ(^-^)

女川七十二候:小寒 │ 次候[ 鰯干寒風 – いわしさむかぜにほさる ]

真鰯は一般的に初夏頃からと言われますが、通年揚がる魚です。
この時期も、群れが定置網に入ってきて、水揚げ量も多く脂も乗っていて美味しいです。

今、女川の「おかせい」の店の前では、いわしやさばなどがこのように吊るされます。
夏は、暑く虫が寄ってきたりするので、丸干しは、寒い季節の風物詩です。

干物は、昔は単なる「保存方法」としてとらえられたりしたこともあったかもしれませんが、れっきとした素晴らしい「調理方法」です。inflatable water park

岡清では、生でも食べられる脂ののった新鮮な魚を使用していますが、生よりもずっと美味しい食べ方かもしれないなあと思います。(^-^)

鰯は、女川の人たちにとっては、とても日常的な魚です。
何か特別な思い入れがある、というよりは、生活の一部といった方がよいかもしれません。

寒風干しもまた同じで、ああ今年もこの季節がやってきたなあという感じです。
女川さかな手帖では、そういう女川の暮らしも引き続きお伝えしていけたらなあと思います。

女川七十二候:小寒 │ 初候[ 吉次則華 – きちじすなわちはなやぐ ]

新年明けましておめでとうございます。

年が明けて今日から仕事始めの方も多いのではないでしょうか。
暦の上では今日から節分の日までを「寒の内」といい、今日は「寒の入り」。
いよいよ本格的な寒さが来ると言われる時期です。

「小寒」の初候は、七十二候では「芹乃栄(せりすなわちさかう)」といいます。
春の七草でもあるセリが、盛んに生えるとされている時期です。
セリは、作付け面積、収穫量ともに、宮城県は第一位の野菜で、ここ数年でセリの根っこ
まで食べる「せり鍋」がブームになっているのを肌で感じます。
旬のお魚と一緒に食べても美味しい鍋ですよね。

「女川七十二候」は「吉次則華(きちじすなわちはなやぐ)」です。

キチジは別名キンキとも呼ばれます。関東の方にはこちらの方が一般的かもしれません。
宮城では古くから名物「笹かまぼこ」にも使用されている馴染み深い魚ですが、
脂のノリもよく、近年はすっかり高級魚の仲間入りをしています。

華やかな赤色が特徴で深いところに住み、赤が鮮烈なものほど美味しい魚です。
今は旬の時期にあたり、脂ものっています。

赤色が縁起が良いことから、新年のお祝いなどにも使われる魚である。
名前に「吉」を冠しているのも、一年の始まりにぴったりですね。

吉次は主にトロール(底引き網)で獲れる魚ですが、女川ではトロール船が寄港して
水揚げをしないので、主に石巻で揚がる魚になります。

ただ今年は吉次の漁場が遠く、また今年はさばが近くにて獲れているため、石巻でも
吉次は水揚げ量が例年に比べて少ないようです。inflatable water slides
遠くまで吉次を獲りに行くよりは、近くの大量のさばを獲ることに力を入れているという
ことですが、吉次もさばも美味しいですよね。(^-^)

女川七十二候:冬至 │ 末候[ 滑多鰈迎 – なめたがれいはるをむかう ]

いよいよ大晦日となりました。
年の瀬、いかがお過ごしでしょうか。

二十四節気「冬至」の末候は、七十二候では「雪下出麦(ゆきわたりてむぎのびる)」。
雪に覆われた大地の土の中で、もう麦が芽吹き始めている頃なのだそうです。

二十四節気のうえでは、まだまだ春は先ですが、現代の暦では、明日から新年。新春とも
よばれます。
「女川七十二候」は「滑多鰈迎(なめたがれいはるをむかう)」です。

他の地域ではババガレイと呼ばれるこのカレイは、ヌメリが多いことから宮城では「滑多
鰈=ナメタガレイ」と呼ばれます。
この時期、寒くなるにしたがって魚体は大きく肉厚になり、宮城県沖で漁がさかんになり
ます。

年越しの食事に煮付けなどにして食べる「年取り魚」として親しまれています。
子孫繁栄の縁起を担ぎ、子持ちのメスが重宝され、年末の時期は価格があがります。

皆さんの大晦日の食卓は、どんなでしょうか。
無病息災を願って、穏やかな新年を迎えられますように。

女川七十二候:冬至 │ 次候[ 真鱈腹満 – まだらはらみつる ]

さあ、いよいよ今年も残すところあとわずか。

二十四節気「冬至」の次候は、七十二候では「麋角解(さわしかのつのおつる)」。
「麋(さわしか)」は大型の鹿のことで、オスの角が年に一度、古い角を落として生え変
わる、いまはそんな時期なのだそうです。

そしてこの時期の宮城の海はというと…
「女川七十二候」は「真鱈腹満(まだらはらみつる)」です。

真鱈は通年漁獲される魚ですが、旬と呼ばれるのは産卵に向け浅いところにやってくる
十二月から三月頃です。
身の味も寒くなるほど美味しくなるのですが、ちょうど腹に抱えた白子や卵も絶品で、ま
さに冬の味覚です。

オスは身も美味しいですが、メスは卵を持つから身が少し痩せていると思います。
そんな理由もあってか、マダラはほかの魚と違い、メスよりオスの方が価値の高い魚です
が、やはりその理由は、白子にあるでしょう。inflatable obstacle course
マダラの卵は、タラコではなく(タラコはスケトウダラの卵)、マダラコと呼ばれます。

主に底引き網で北海道や東北で水揚げされる魚で、宮城は、女川港では現在はほとんど見
ないですが、主に石巻港で立派な真鱈が揚がっていますよ。

まさに捨てるところのない真鱈、この冬もぜひ、味わってみてください。(^-^)

女川七十二候:冬至 │ 初候[ 海鞘産卵 – ほやさんらんす ]

さあ、いよいよ今年も残すところあとわずか。

二十四節気「冬至」の末候は、七十二候では「乃東生 (なつかれくさしょうず)」です。
乃東とは、冬に芽を出し夏に枯れる、紫色の花を咲かせる「うつぼくさ」のことだそうです。
そんな時期の「女川七十二候」は「海鞘産卵 (ほやさんらんす)」です。

ほやは、知れば知るほど興味深い生き物です。
貝ではありません。生物学的には、尾索動物亜門・ほや綱に分類されるそうです。

その味わいも、ほかの食べ物には絶対にない特徴がありますよね。
つくづく不思議な生き物です。

三陸でほやといえば「まぼや」のことを指しますが、ほやは雌雄同体で、ちょうど冬至の頃、出水孔から精子と卵子を交互に出します。inflatable water park
ほやには、ツノのようなものがふたつあり、ひとつは(+)、もうひとつは(-)の形を
しています。(+)が入水孔、(-)が出水孔です。

以前、漁師さんから「ほやはクリスマスイブの夜に産卵するんだよ」と言われ、ロマンチックだなあと思ったのを覚えています(^-^)

受精し2日ほどたった幼生は自分で泳いで養殖用のロープや牡蠣殻にくっつき、その後はそこで動くことなく大きくなり、一生を過ごします。

それから二年半ほどで、美味しいほやとなり、出荷されます。

女川七十二候:大雪 │ 末候[ 海鼠在岸 – なまこきしにあり ]

今年も残すところあと2週間、年末年始のご予定はいかがでしょうか。

二十四節気「大雪」の末候は、七十二候では「鮭魚群 (さけのうおむらがる)」です。
意味は文字通り、鮭が群がって川を遡上するということですが、実際には、鮭が戻ってくるのは、もっと前でしたね。

「女川七十二候」は「海鼠在岸 (なまこきしにあり)」です。

ナマコは冬になると活動が盛んになり、女川では十一月に解禁となり、漁は三月まで続きます。
箱眼鏡漁などで獲ることが多いですが、許可を得て素潜りで獲る漁師さんもいます。

ナマコといえば、なまこの内臓を塩辛にした「このわた」が珍味ですね。
宮城では、さらにそれを「ほや」と合わせた「莫久来(ばくらい)」というのがあります。
酒のアテには最高の一品です。inflatable park
当店では現在のところ、このわたやばくらいは扱っていませんが、ぜひ、ほやと合わせて
味わってみてほしいです。

ナマコのうち、市場で人気(高値)なのは、赤ナマコといって、赤いナマコです。
ナマコは切ってから熱湯で湯通しすると柔らかくなり酢醤油などで食べるのですが、赤ナマコに関しては湯通しの必要がないくらい柔らかいです。
女川ではもっぱら黒いナマコが多いですが、私はこちらのほうが好きです(^-^)

さんまシーズン終了

こんにちは。

 

今週もさんまの水揚げがありましたが、ほとんどの船は今週が最後の女川での水揚げになる見込みです。

ラストさんまは少しサイズが小さめのものが目立ち皆さんがニュースで見たり聞いたりする状況がそのまま漁港で起こっています。

 

個人的にもこのような不漁を体験するのは初めてのことで驚いていますが、さんま一筋で生きてきたベテランはどう感じているのでしょう?

 

長年女川でさんまを買い続けているベテランに話を聞きました。

 

 

―――今年のシーズンを終えていかがでしたか?

悲惨な年だった。稀に見る不漁だった。

でもサンマって本当においしいって改めて思った。

 

―――どんなさんまでしたか?

もの自体の品質は例年通りだった。ただ量が著しく少なかった。

今年の女川港でのさんま全体の水揚げ量が、ちょうど水揚げ全盛期の会社1社のさんま取扱い量と一緒くらいだった。

脂が落ちてから上がり始めたものもあった。

南下するほど卵が大きくなるのでそこに栄養を使ってしまい、小さくなっているものがいた。

 

 

―――価格はどうでしたか?

例年より高かった、量が少ないということも影響している。

 

 

―――時期はどうでしたか?

獲れ始めの時期が遅かった。

例年は8月後半からだが今年は10月に入ってからだった。

 

―――原因はなんだったのでしょうか?

魚がいないってことは水温なのではないか。

水温が高いので近海に寄り付かず、漁場が遠くなり、漁師は大変だったと思う。

燃料代が大変。

その点サバに関しては例年通り獲れている。

わからないことが多い。

 

 

―――来年の展望はいかがですか?

良いことがあるように祈るばかり。

今年獲れない分数が増えれば良いなあ。

来年も引き続きおいしい秋刀魚をお届けするのでみなさんサンマ食べてください!

 

 

 

ということでした。

来年は良い漁ができることを祈りましょう!

 

ではまた次回!

 

女川七十二候:大雪 │ 次候[ 槍烏賊長 – やりいか、ちょうず ]

12月も中盤になりました。

二十四節気「大雪」の次候は、七十二候では「熊蟄穴(くまあなにこもる)」です。
熊だけでなく、いろいろな動物が冬ごもりをする季節です。
淡水の魚の中には、体温も低下し冬眠状態でじっと動かなくなる魚もいますが、海の魚はでもピンピンしているものが多いですね。

「女川七十二候」は「槍烏賊長(やりいか、ちょうず)」です。

女川には、イカはアオリイカ、スルメイカ、ヒイカ、それぞれ入ってきますが、今はヤリイカが旬です。

槍のようにとがったヒレが名前になったヤリイカは、春から初夏の産卵期に向け群れで沿岸に集まり、この時期、大きく成長します。オスのほうが大きく、大きいものでは約40cmにもなります。メスは約25cmです。

ヤリイカは、透明度の高いものが新鮮かつ美味で、次第に白くなっていきます。
女川は産地ですので、透明なヤリイカが揚がりますよ。

食べ方は、当然刺身もよいのですが、長ネギと一緒に天ぷら、バター焼き、ボイルなど、火を入れても美味しいです。

産卵後に、ヤリイカはその1年の寿命を終えます。

今年のヤリイカは量が少なくサイズも小さい印象です。
大きく重いものほど高く取引されるヤリイカですが、女川の漁師さんは「意外と小さいもの方が柔らかくて美味しい」と話します。
inflatable water slides

いまが一番おいしい時期の、新鮮な女川のヤリイカも、機会があれば味わっていただきたいです。